ネギ坊主、この言葉を知ったのは26歳の頃でした

当時勤めていた会社の受付に経理のおばさん生け花の大先生の作品が飾ってあり、みんなでその話をしていたところ、先輩のSさんが「あれネギ坊主だよね」と言ったのです。
一瞬その場に静寂が訪れました。
誰もネギ坊主を知らなかったのです。

ネギ坊主? ネギ + 坊主 ? 

その言葉の不可思議さに皆が
「ねぎぼうず?」
と聞き返していました。
さらに、もう一人の先輩のTさんは、その言葉がツボに入ったらしく
「ね、ね、ねぎぼうずーっ」
と、もんどり打って笑いながら
「ねえ何それ? ねえ、ねぎぼうず、かわいー、何それ?」
と執拗に聞き、あまりにしつこかった為、最後には、Sさんが
「俺のこと田舎もんだと思ってバカにしやがってー」
と怒って拗ね、なだめるのがめんどくさかった大変だったおぼえがあります。


さて、そんなネギ坊主ですが、今ならもちろんわかります。
だってうちのベランダにありますから。

確かにこれは ねぎぼうず だわ

ネギ坊主はネギの花です

植物の栽培にはだいたい失敗している私が花を咲かせられるなんて! と、ちょっと感動しましたが、それはいろんな意味で間違っていますね、きっと。
まず、私が咲かせたのではありません。

枝豆を全滅させた後、「育ってくれればもう何でもいい」という思いで植えた再生ネギ
植えたというか、もう捨ててもいいかな?っていうくらいの、使った後の端っこを土に挿しただけ。
丹精込めたわけでも何でもなく、放置していたら勝手に咲いたのです。
そもそも咲かせるつもりもなかったし。葉っぱを食べようと思っただけです。
「ネギ坊主ができるとネギの成長が止まって食感も悪くなるので、葉を食すならネギ坊主が出来る前に収穫すべき」とネットに書いてあったのに、ちょっと油断したらネギ坊主になっていたのです。

感動する資格などまったくありません。

でもまぁ何はともあれ、花まで咲いちゃって、ネギっていうのは本当に生命力がすごいなぁと感心しています。
ネギ坊主になったのは2本ですが、それ以外は日々うどんの薬味にしたりしています。
それでもなかなか使いきれず、先日一気に収穫し、ネギ焼き(具がほとんどネギのお好み焼きみたいなもの)にしました。

元は白ネギですが、再生した葉の部分は味も食感も万能ネギっぽいです

収穫後は、ネギ坊主以外のネギをおしまいにして「なんかまた違うの植えようかな」などと思っていましたが、何しろ枯らし屋なので、次を迷っているうちにまたネギが成長してしまいました。

どうしましょう? いっそみんなネギ坊主にして天ぷらにしますか?

ネギ坊主が天ぷらで食べられるっていうのは今さっき知ったんですけどね。
天ぷらにするとだいたい何でも美味しいですよね。

迷うなぁ。

完全に花が開いたものは食感がよくないそうなので、それは種をとるとして。
ネギの行末をちょっと検討してみます。
それにしてもネギ、最後まで楽しませてくれます。

補足:
あの生け花は本当にネギ坊主だったのだろうか?
今ならネギ坊主を知っているのに、残念ながら私はその作品のビジュアルをまったく覚えていないのでわからないのです。いくら大先生とはいえ、会社の玄関にネギ坊主を活けるなんて大胆すぎやしまいか? それとも生け花の世界ではネギ坊主は案外ポピュラーなの?
今さらながら気になったので、ネギ坊主 生け花 と、調べてみたら、アリウム という似たような花があることがわかりました。それだったのかな。

これがアリウム。確かに紫のネギ坊主です。