ベランダから入ることを覚えた2匹
向かって左がこつ。右がつぶ

1歳半くらいまで、つぶとこつは頻繁にウチに遊びに来ていました。

明日を見つめるつぶと思索にふけるこつ
「姉ちゃん、何見てるの?」
「あ、私行かなくちゃ」「じゃ、オレも」

この3枚は一歳前後の写真です。人間なら高校生くらいでしょうか?
このあと数ヶ月すると、まずつぶが、本当に出ていってしまうのですが、そのお話はまた今度。
今回は主にこつのお話です。

『おおかみこどもの雨と雪』という映画があります。

おおかみ男と人間の女性が恋に落ち、二人の子供を授かります。お父さんのおおかみ男は亡くなってしまいますが、残されたお母さんが子供たちを一生懸命育て、やがて子供たちが巣立っていくお話です。
活発な姉、雪と、ちょっとひ弱な弟、雨。小さな頃はおおかみの姿になってじゃれ合う姉弟でしたが、学校に上がる頃になると雪は周りの子供たちに合わせて普通の人間になろうとします。かたや弟の雨は人間の世界に馴染めず、山に出かけるようになり、最後にはおおかみとして山で生きることを選びます。

この映画を見ると、こつのことを思います。
避妊手術をして野性味がなくなり人間と一緒に暮らすことになったつぶと、人間に甘えていた子猫から青年になって猫の世界に戻って行ったこつ。2匹のことがなんとなく雪と雨に重なってしまうのです。


こつには去勢手術をしなかったので、年頃になると(女の尻を追いかけて?)どこかに行ってしまうようになりました。数ヶ月姿を見ないと思っていると、ある時ふらっと帰ってきて、しばらく滞在してまたいなくなる。まるで寅さんのようでした。
夫は1回女子にフラれるこつを見たそうです。
言い寄った相手に猫パンチを食らわされ、プイッと逃げられたらしいです。そんなところも寅さんです。

しかし、もう何年も、こつは帰ってきません。

最後に帰ってきた時には、痩せてちょっとよだれも垂らしていました。
その前に帰ってきた時に、口臭がひどくなっていたので無理矢理病院に連れて行ったところ「直接的には歯肉炎だが、『猫エイズ』にかかっているかもしれない」と言われました。
なんとか少しでもよくなってくれないかと口内炎改善のサプリなども与えてみましたが、うまく飲んでくれません。それから何日かベランダにやって来ましたが、その後パッタリと来なくなりました。

もし、こつに去勢手術をしていたら? と時々考えます。

今も横にいたかもしれません。いや多分、いたと思います。避妊手術をした姉のつぶは、今でもウチにいてお姫様暮らしをしていますから。

寝姿がシンクロしていた仲良し姉弟。今もこんな姿が見られたのかも。

こつも子供の頃と同じように「はう〜」と物悲しく聞こえる鳴き方でなき、私のひざに乗っていたかもしれません。
猫として大人になり、いわゆる野良として暮らすのと、避妊手術や去勢をされて子猫の気持ちのまま人間と一緒に暮らすのと、猫にとってどちらが幸せなのかは私にはわかりません。


でも、青年のこつで思い出すのは、たまにウチに帰ってきて、皿に大盛りのカリカリをガツガツ食べて、また元気に出て行く姿。男子高校生のようにエネルギッシュで微笑ましいものでした。
大人になると昔のように甘えてくることはなくなりましたが、たまに思い出したように私の横で寝ることがあり、慕ってくれているのはわかりました。

こつとベッタリ一緒にいられたのは2年弱。そのあと4〜5年は寅さん状態。
全部合わせても6〜7年、人間の子供なら小学校に上がったばかりです。
その感覚だと、まだまだ、まだまだずーっと一緒にいたかったと思ってしまいますが、猫の世界ならもう立派な中年。寅さんになって帰ってこなくてもしょうがない・・・のかな。
猫としてちゃんと大人になれたことは、それはそれでやっぱりよかったのだろうと思います。