飼うつもりではなかったのに、いつの間にかウチの家族の一員となったキジトラのつぶ。
今回はその出会いについてのお話です。
最初の出会いは、夫とつぶのお母さん猫でした。
当時のことを夫に思い出してもらいました。

あれは2007年頃の仕事帰り。
住んでいる家に通じる小道に入った時にふと気配を感じました。
後ろを見てみるとシルバーグレイの猫が私の後をついて来ています。
首輪はしていません。
別に美味しそうな匂いがするものを持っていたわけでもないのですが、
私が立ち止まるとお座りをしてしてこっちを見ています。
「お腹が減っているんだろうか?」
そう思い「ちょっと、待っておいで」と声をかけて家に入り
缶詰を小皿に入れて戻ってみると、猫はまだそこで待っていました。
小皿をおこうと近寄ると少し後ずさります。
「じゃここにおくから、お食べ」
その場に小皿を置いて、少し下がって座って観察してみました。
猫はゆっくりと近寄ってきて静かに食べて、ゆっくりと帰っていきました。
それからというもの、私が夕方近所まで帰ってくると後をついてくるようになりました。
私が用意する間、お座りをして待っていて、小皿をおくと静かに食べて帰っていきます。
そうなると私の方も使っていない小皿を猫専用にして、
キャットフードや猫用の缶詰などを買うようになりました。
猫が待っている位置もだんだんウチに近くなっていき、
いつの間にか、ドアを開けるとすぐそこで待っているようになりました。
最後にはドアを開けてやると玄関まで入ってきてそこで食べるようになりました。

無理に撫でたりしようとしなかったのがよかったのか、その関係はしばらく続きました。
別に名前をつけようとも思わず、ただ「猫」と呼んでいました。
近所まで帰ってくると後をついてきて、玄関に入ってきて、
小皿の食べ物を食べ終わると静かに帰っていきます。
困ったのは、今までみたいに気軽に寄り道ができなくなったことでした。
別に飼っているつもりはないのだから、責任を感じる必要はないと思うのですが、
「今頃待っているんじゃないかな」なんて思うと、
一杯飲みにいくのに、わざわざ一度帰ってきて食べ物をやってから出かけたりもしました。
その猫はちゃんと待っていたのです。
そんなある日、近所の水道工事屋の資材置き場というか、
資材の廃棄場みたいなところにその猫がいました。
私が通りかかった時、初めて少し鳴いたので気がついたのです。
古タイヤの中に座ってこっちをみています。
「へえ、いつもはそんなところにいるんだ」
と思ったその時、タイヤの下の方で何かが動きました。
よくみると小さな子猫がミィミィなきながら、その猫の周りを回っていました。
いつの間にか子猫を産んでいたのです。

びっくりさせられましたが「もしかしたら、私に子猫を紹介してくれたのかもしれない」と思いました。
子猫はキジトラで、そのかわいいことといったら。
母親似だったらもっと可愛かっただろうに、残念ながら毛色は父親に似たみたいです。
次の日から親子で私についてくるようになりました。

子猫は恐る恐る玄関に入ってきて、興味深そうにあたりを見回しています。

私は子猫用に牛乳や柔らかい缶詰を別に用意したりしました。
しばらくするとすっかり慣れて、子猫だけ部屋に入ってくるようになりました。

その子猫がのちの『つぶ』です。